一人の元教師の想い
この本は、ベトナムのストリート・チルドレンの存在を知った小学校教師が、退職して単身ベトナムへ渡り、ボランティアとしてストリート・チルドレンの生活を支えていくノンフィクションです。貧しいとはいえ、ベトナムは社会主義国なのだから、国家が身寄りのない子供たちの生活・教育を保障しているものと思っていたけれど、それは大きな誤り。 ストリートチルドレンは、一説5万人もいるそうです。 フエ市での著者のストリート・チルドレンの支援活動を通して、経済成長の表裏、社会主義国家特有の"特権階級"の不正・蓄財行為とそれを自浄できないシステム、それに憤りを持ちつつ公に批判できない人々のくやしさなど、ベトナム社会の一面に直面させられます。 ストリートチルドレンへの寄付金を着服する役人など、トンデモない人が次々登場。 それも大学学長やボランティア協会関係者などというから、体制の腐敗の度に、ベトナム大好き人間でも幻滅してしまいそうになります。 しかし、著者の活動をバックアップしようと尽力してくれる教育委員会の幹部やフエ市長などの存在にほっと一安心。 トンデモない日本人もベトナムに押しかけており、利権を得ようとする企業経営者、教科書風の経済成長成功論をかざす日本人研究者、著者のボランティア活動を「自己満足、無意味」と切り捨てる女子大生など。結局、日本人だっていろいろいますからね。 一人の元教師の”想い”が、日本人とベトナム人の志ある人たちを巻き込んで、大きな活動へと発展していく過程は痛快です。
小学館
ベトナムの「子どもの家」―ストリートチルドレンと生きる日本人 (ノンフィクション知られざる世界) ストリートチルドレン―メキシコシティの路上に生きる― (岩波ジュニア新書)
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