名探偵 木更津悠也 (光文社文庫 ま 16-1)



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幽霊の話

 2004年にカッパ・ノベルスとして出たものの文庫化。
 京都の住宅街に出没する白い幽霊を軸に、4つの事件が語られている。
 4篇の出来はそれなり。面白かったのは「交換殺人」。いろいろバリエーションのあるテーマだが、ひとひねりあるプロットで楽しめた。
 「白幽霊」もまあまあ。犯行の構図が巧みにズラしてあり、それに気が付くと一挙に事件が解決して爽快。
 しかしながら、本書を特徴づけているのは、物語全体に巧妙な仕掛けがある点。やな感じのトリックだが、これはこれで面白い。私は気に入った。メタ・ミステリとしては、成功している部類ではないか。
 通読して、全体のトリックに気付いて、再読する。二度楽しめる本であった。
この構想は失敗でしょう

「夏と冬の奏鳴曲」、「鴉」などの衝撃作で読者を驚かせる作者が、ある構想を持って読者に送る連作短編集。探偵役を務めるのは木更津、ワトソン役は香月。各作品は"白幽霊"という共通のモチーフを持つものの、内容的には独立している。

「白幽霊」は平凡なお屋敷もの。「禁区」は高校生の情痴殺人もの。「交換殺人」は無茶な交換殺人計画。「時間外返却」はこれまた情痴殺人もの。いずれの作品も目新しい趣向やトリックはなく、凡庸の極み。

だが、全編を通じて作者はある試みをしているのだ。読んで行くと自然に分かるのだが、作者はミステリのある可能性を拡げようと苦心しているのである。だが、ミステリは読んで詰まらなければそれまでで、本作ではその試みは完全に失敗していると思う。作者の手前勝手な試みではなく、読者を楽しませる作品の提供を第一に考えて欲しい。



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